大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和53年(ワ)4644号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

1 <証拠>によると、昭和四三年二月一日本件クラブの会則が制定され(昭和五一年七月一四日一部改正)これには預託金の取扱については被告の定める取扱規程によるものとする旨の定めがなされており、昭和五一年一〇月二三日に改正される以前、即ち原告が入会した当時の取扱規程には入会年月日より起算して満五年を経過した会員の退会(預託金返還)申請があれば預託金を返還する旨の定めがなされていたこと、他方、原告が本件契約締結に際し被告から交付された預り金証書には「預り金は五年間据置きとし利子又は配当金等はつきません。」と記載されているのみでその他預託金返還についての条件はまつたく付されていないことが認められる。

2 そして<証拠>によれば、取扱規程は会則第二〇条に基づき理事会の決議で改正できることになつていること及び昭和五一年一〇月二三日、本件クラブの理事会において預託金の据置期間を一〇年とする旨取扱規程を改正するとの決議がなされたことが認められる。

3  ところで、前記1の認定事実から判断すると、本件クラブの会則が「取扱規程によるものとする」と定めている預託金取扱に関する事項とは、預託金について会社内部における事務処理上の取扱に関する事項のみであつて、預託金の返還時期など被告と本件クラブの会員との間の権利義務に関する事項は元来当事者の合意によつて定められるべきものと解されるから、右取扱規程の定めによつて、本件クラブの会員の個々の同意を得ることなく、預託金に関する会員の権利、義務に得喪、変更を加えることはできないというべきである。したがつて、2記載のように本件クラブの理事会がその決議により被告の取扱規程を改正する手続をとつたからといつて、原告の同意を得ていない(この点は弁論の全趣旨によつて明らか)以上、本件預託金の据置期間が一〇年間に延長されたものとはいいえない。

被告の抗弁は理由がなく、採用できない。

(佐藤安弘 島田周平 高林龍)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!